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弁護士ブログ

少年の刑事事件

2018.08.24更新

 遂に福岡地方裁判所が赤坂から六本松に移転いたしました。来月から本格的に六本松の裁判所での期日が入っていきますので、これから頑張ってまいります。

 

 未成年者である少年の場合、成人の刑事裁判とは異なる「少年審判」というもので少年の処遇が決定されるケースが大半です。

 

 「少年審判」と「刑事裁判」には、どのような違いがあるかご存知でしょうか。

 

 刑事裁判は被告人に刑罰を科すことを目的としているのに対し、少年審判は「少年の健全な育成」が大きな目的とされています。そのため、少年に就く付添人(刑事裁判でいう弁護人)としては、刑事裁判での弁護人的役割に加えて、少年に寄り添うパートナーとしての役割も担うことになります。(少年事件の場合、私はなるべく多く少年と面会するようにしています。)

 

 刑事裁判は地方裁判所又は簡易裁判所で行われるのに対し、少年の健全な育成を目的とする少年審判は家庭裁判所で行われることになります。

 

 通常の刑事事件において、被疑者・被告人は警察署や拘置所で身体拘束をされます。それに対し、少年の場合、家庭裁判所送致がなされた後、「少年鑑別所」という施設に入所させられることが多いです。少年鑑別所において、少年に学習活動をさせたり家庭裁判所調査官が少年と面談したりして、少年の学力・知識力や生活態度に問題がないかを調査することになります。

 

 福岡県の場合、少年鑑別所は1つしかなく(福岡市南区若久にあります)、筑豊や久留米に居住している少年であっても同鑑別所に入所するケースが大半です。(少年が警察署に在監しているときは面会できていたのに、少年鑑別所に移ったために面会に行けなくなったという親御さんが多くいらっしゃいます。)

 

 少年のときに少年審判を受けたものの、きちんと更生して立派な社会人となられた方が数多くいらっしゃいます。少年審判において、少年が非行を行った原因を見つけ出して、きちんと矯正していくことは、とても重要で有意義なことだと思います。

投稿者: 弁護士 天野広太郎

刑事事件の保釈制度

2018.08.09更新

 まだ暑い日が続いておりますが、段々暑さに慣れてきた気がします。人間慣れれば、良くも悪くも耐性が付くのかもしれません。

 刑事事件のニュースでしばしば「保釈」という言葉を聞かれると思います。容疑者が警察署や拘置所から出られるというのは漠然と分かるものの、保釈とはどのような制度なのか具体的に説明できない方も多いのではないでしょうか。

 刑事事件では、警察署等で被疑者が逮捕勾留された後、起訴するか(刑事裁判にするか)を検察官が決めることになります。

 そして起訴された後、被告人は裁判所に対して保釈申請を行うことができます。裁判所が保釈を許可した場合、被告人は警察署等から釈放されて、裁判所の定める制限住居(身元引受人の住居等)での生活を送れるようになります。

 保釈は起訴された「後」にしかできませんので、最初の逮捕勾留されている段階では保釈申請はできません(別途勾留取消し請求等は可能です)。また、保釈を許可してもらうには身元引受人が要ることがほぼ必須の条件です。

 保釈が許可された場合、保釈保証金を裁判所に納める必要があります。保釈保証金として少なくとも150万円程度が必要となり(被告人の経済的状況によって金額は決まります)、もしも刑事裁判の期日に出頭せず逃走したりすると、保釈保証金は没収されてしまいます。

 保釈金がすぐに準備できない方のために、日本保釈支援協会等の保釈金を立て替えてもらえる機関があり、それを利用すれば保釈保証金を用意することも可能です。(ただ、全額を立て替えてもらえるわけではなく、立替え手数料等がかかります。)

 警察署で長期間生活してきた被告人は、少しでも早く釈放してほしいという気持ちになるのが通常です。保釈されるべき正当な理由のある被告人の場合は、スピーディーに保釈申請することをいつも心掛けています。

 なお、「容疑者」という言葉をニュースでしばしば耳にしますが、これは法律上の用語ではありません。刑事訴訟法上、起訴される前は「被疑者」、起訴された後は「被告人」というのが正しいので、これを機に覚えていただければと思います。

投稿者: 弁護士 天野広太郎