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弁護士ブログ

九州北部豪雨災害

2017.08.28更新

 先日、九州北部豪雨災害により被害を受けた朝倉市まで避難所出張無料相談に行ってまいりました。

 

 朝倉

 

 私も福岡県内で暮らしていますが、今回の出張相談に参加させてもらうまで、避難所に何名の方々がいらっしゃってどのような生活を送っているか等についてあまり考えたことがなく、申し訳ない気持ちになりました・・。

 

 

 弁護士会だけでなく、司法書士会や行政書士会の避難所出張相談等も実施されており、自分が知らないだけで色々な支援活動が行われているのだなと感じました。

 

 損害発生の原因が自然災害などの不可抗力である場合、だれがその損害を負担すべきかは難しい問題だと思います。九州北部豪雨災害により自宅が全壊・半壊した方々は支援金を受け取ることができますが、その金額は50~100万円程度(建て直しを行う場合は追加支援金あり)であり、損害の補てんとして十分とはいえません。法律だけでは解決できない問題があることを今回実感させられました。

 

 福岡県弁護士会では、九州北部豪雨災害のための無料電話相談を実施しています。被災関係の相談がある方は、是非お電話いただければと思います。

災害無料電話相談

投稿者: 弁護士 天野広太郎

殺人の故意

2017.08.23更新

 8月22日、公園で息子とキャッチボールをしていた男性を金属バットで殴り殺害しようとしたとして、神奈川県警横須賀署は、殺人未遂罪の容疑で大工の少年(19歳)を逮捕しました。加害者の少年は「殺すつもりはなかった」と話し、殺意を否認しているとのことです。

 

 仮に加害少年の殺意が認定できなければ、少年の行為は殺人罪(刑法199条)でなく傷害致死罪(205条)に当たると考えられますが、殺意の有無はどのように判断されるでしょうか。

 

 犯人が殺意を否定している場合、客観的な状況などから殺意の有無は判断されます。具体的には、凶器の形状(鋭利な刃物等)・犯行態様(助走をつけて思い切り胸をナイフで突き刺した等)・被害者の受傷した部位・受傷の程度(傷口が深い等)・犯人の発言(犯行直前に「殺してやる」と言っていた等)などが殺意の判断基準となります。

 

 殺意は内心の問題なので、客観的な状況から判断することが難しい場合もあります。そのため、殺意があったかどうかが争われた場合、裁判所でも慎重に認定していくこととなります。

 

 また、被害者に暴行を加えようとすら思っていなかったのに過失により死亡させた場合(10階のベランダから誤って花瓶を落として通行人を死亡させた場合等)には、殺人罪・傷害致死罪ではなく過失致死罪等(210条等)が成立します。

 

 犯行の結果が同じであっても主観的意思により該当する犯罪や刑の重さが変わってくるのは、刑事事件の面白くもあり恐ろしいところでもあると思います。

投稿者: 弁護士 天野広太郎

ゴールド免許証

2017.08.15更新

 先日、お盆休みを利用して南区花畑の自動車運転免許試験場まで自動車免許証の更新に行ってきました!お盆休みのためか、多くの方が免許証の更新等に来られており、結構時間がかかってしまいました・・。

 

 免許証をお持ちの方はご存知だと思いますが、自動車免許証には優良運転者に与えられるゴールド免許証とブルー免許証があります。そして、ブルー免許証には、①一般運転者(過去5年間に3点以下の違反が1回のみの場合)に与えられる有効期限5年のものと、②違反運転者に与えられる有効期限3年のものがあります。

 

 免許証の更新に関しては、以下の裁判例(最高裁 21.2.27判決)がとても有名です。

 

 事案の概要:Xは、K県公安委員会から免許の有効期間の更新を受けましたが、その際、所定の期間内に道路交通法違反があったため、ブルー免許証の一般運転者に当たるとして、優良運転者である旨の記載のない運転免許証を交付されました。Xとしては、道路交通法に違反する行為はなかったと考えていたため、K県に対して、免許証のうちXを一般運転者とする部分の取消し等を求めて訴訟提起をしました。Xの訴えが認められるためには、そもそも訴えの利益(処分を取り消す実際上の必要性)が必須ですが、Xの訴えに、訴えの利益は認められるでしょうか。

 

 これについて、ブルー免許証の一般運転者とゴールド免許証の優良運転者では、免許証の有効期間がどちらも5年間で同一であることは、訴えの利益を否定する方向に働く事実です。他方で、ゴールド免許証の方がブルー免許証より保険料が低額で済む等のメリットがあることからすれば、訴えの利益を認めるべきとも考えられます。

 

 最高裁判決では、結論として更新処分の取り消しを求めるXの訴えの利益を認めました。

 

 少し難しいですが、優良運転者である旨の記載のある免許証を交付して行う更新処分を受ける地位が法律上の地位といえる理由は以下の3つとされています(最判解民事篇 平成21年度(上)144頁~)。

 ①更新処分において、優良運転者の要件を満たす場合にはその旨の記載をすることが法律上求められていること、②道路交通法は優良運転者を賞揚し、交通事故の防止を図る目的で優良運転者である旨の記載を行っており、かかる記載ある免許証の交付は、それを受けたものが優良運転者に当たるとの認識を明らかにする一種の公証行為の実質を有していること、③優良運転者に対して、更新手続上の優遇措置が取られていること

 

 Xの提起した訴訟のように、都道府県や国の行った行政処分を争う訴訟は「行政訴訟」にあたります。行政訴訟では、あまり有名とはいえない法令や行政内部の通達が問題となることが多く、難しい案件が多いです。建築確認にまつわる住宅紛争等についても、きちんと対応できるよう勉強していきたいと思います。

投稿者: 弁護士 天野広太郎

労働研修

2017.08.10更新

 弁護士会では様々な研修や勉強会が行われており、私も月に2~3回程度参加させていただいています。

 

 先日は労働問題についての研修があり、残業代に関する法律実務について学ばせていただきました。

 

 給与・残業代の決め方には様々なものがありますが(固定残業代制度・オール歩合給等)、就業規則に定めている給与体系が労働基準法等の法令に反している場合もあります。そのような場合、労働審判や訴訟を提起すれば、未払い給与を請求できる可能性があります。(固定残業代制度に関する判例として高知県観光事件(最高裁平成6年6月13日判決))

 

 福岡県弁護士会に入会させていただいてから、刑事弁護に関する勉強会や弁護士会照会に関する研修に参加させていただきました。これからも様々な分野の相談に対応できるよう積極的に研修等に参加していきたいと思います。

投稿者: 弁護士 天野広太郎

殺人事件の実名報道

2017.08.08更新

 今日からいよいよ夏の甲子園が始まります。福岡県代表の東筑高校をしっかり応援したいと思います。

 

 殺人事件や傷害致死事件について、テレビや新聞のニュースでは、犯人の情報より、亡くなられた被害者の個人情報がピックアップされて報道されることが多く見受けられます。そのことに、違和感のようなものを感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

 犯人が少年の場合、犯人を特定できるような記事又は写真を出版物に掲載してはならないことが法律上規定されています。(少年法61条:家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であること推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。)

 また、犯罪者であっても名誉権やプライバシー権は一定程度保障され、その権利を侵害する報道を行えば、刑事上・民事上の責任が問われる可能性があります。

 そのため、犯人情報の報道は控え、既に亡くなっている被害者の情報がピックアップされやすい状況となってしまっています。

 

 被害者情報の報道により、被害者の遺族の方は二次的な被害を受けることも多々あります。そのような事態にならないよう報道機関には配慮していただき、私個人としても犯罪被害者支援活動に協力していきたいと思います。

 

 

投稿者: 弁護士 天野広太郎