殺人の故意
2017.08.23更新
8月22日、公園で息子とキャッチボールをしていた男性を金属バットで殴り殺害しようとしたとして、神奈川県警横須賀署は、殺人未遂罪の容疑で大工の少年(19歳)を逮捕しました。加害者の少年は「殺すつもりはなかった」と話し、殺意を否認しているとのことです。
仮に加害少年の殺意が認定できなければ、少年の行為は殺人罪(刑法199条)でなく傷害致死罪(205条)に当たると考えられますが、殺意の有無はどのように判断されるでしょうか。
犯人が殺意を否定している場合、客観的な状況などから殺意の有無は判断されます。具体的には、凶器の形状(鋭利な刃物等)・犯行態様(助走をつけて思い切り胸をナイフで突き刺した等)・被害者の受傷した部位・受傷の程度(傷口が深い等)・犯人の発言(犯行直前に「殺してやる」と言っていた等)などが殺意の判断基準となります。
殺意は内心の問題なので、客観的な状況から判断することが難しい場合もあります。そのため、殺意があったかどうかが争われた場合、裁判所でも慎重に認定していくこととなります。
また、被害者に暴行を加えようとすら思っていなかったのに過失により死亡させた場合(10階のベランダから誤って花瓶を落として通行人を死亡させた場合等)には、殺人罪・傷害致死罪ではなく過失致死罪等(210条等)が成立します。
犯行の結果が同じであっても主観的意思により該当する犯罪や刑の重さが変わってくるのは、刑事事件の面白くもあり恐ろしいところでもあると思います。
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