成年後見と法テラス
2023.02.28更新
皆さん、今日もお疲れ様です。
今回は法テラス利用で難儀していることをお話しします。
私は、各役所の保護課での法律相談を担当しており、生活保護を受給している方のご依頼を受けることが多々あります。
その場合、法テラスの弁護士費用立替え制度を利用して、依頼者様と委任契約を締結します。
ですが、法テラスは、どんな事件でも利用できるわけではなく、利用できないケースがあります。以下のケースの場合、法テラスの弁護士費用立替え制度を利用できません。
ケース① 勝訴可能性がない事件
何をもって、勝訴可能性がないというのかは難しいところですが、
(1)証拠がまったくない
(2)相談者の話しがすべて本当だったとしても法律上の請求権がない
などの場合には、法テラスの弁護士費用立替え制度を利用できません。(なお、法律相談料の援助だけは可能です)
ケース② 刑事事件の場合
法テラスはあくまで民事扶助制度であるため、刑事事件については利用できません。(なお、刑事事件のうち被害者との示談交渉など民事事件の範囲内であれば、利用できる可能性が高いです。)
ケース③ 相談者が意思能力を欠く場合(成年後見相当の場合)
相談者が意思能力を欠く場合は、相談者本人の依頼では法テラスを利用できません。
今回お話ししたいのは、ケース③についてです。
生活保護を受給されている高齢者の多くは、一人暮らしをされています。
そのような方が意思能力を欠く場合、役所のケースワーカーさんや介護職員さんは、成年後見人を就けたいと考えますが(成年後見人がいないと特養施設に入れないなどの不都合があります)、ご家族の協力が得られないため、弁護士に相談されます。
弁護士としては、法テラスの弁護士費用立替え制度を利用して、成年後見人を就ける業務をしたいのですが、この場合は法テラスを利用できません。
なぜ利用できないかといいますと、法テラスは、意思能力を欠く方の弁護士への依頼は無効なので、無効な契約について費用の立替えはできないと考えているからだと思います。(そう説明されると、法テラスは至極まっとうなことを言っていると思います。)
ただ、役所のケースワーカーさんや介護職員さんに「じゃあ、身寄りがいない高齢者に、どうやって成年後見人を就けるんですか?」と聞かれると回答に窮することになります。
ケースワーカーさんには、「成年後見人選任の市町村長申立てという制度がありますので、それを利用してください」と回答しています。
落ちが思いつきませんので、締まりがないですがこのブログはこれで終わりとさせていただきます。
我が家にやってきた青い鳥
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